ボーイングの新型民間旅客機787の開発で小さな問題が生じつつあるという記事がボーイングのお膝元の
シアトルの地元新聞に掲載されました。
9つの胴体セクションを製造しうち一つが不良(長さ33フィートのセクション)だったことや、まだ重量目標を2.5%超過しているということが問題として書いてあります。ただし、その解決の目処のようなことも書いてあるので、直ぐに解決できるのかもしれません。
飛行機のことは良く分からない人が多いだろうと思うので、787や民間旅客機開発のことから解説します。
787はボーイングが開発中の民間旅客機(250座席程度)で、日本が製造分担の35%を担っています。最大の特徴は大量に複合材を使うということであり、従来の機種が重量比で10%程度しか複合材を使っていないのに対して、787では50%程度が複合材になります。他にも、システムがいろいろと従来機種とは異なっており、非常に野心的な開発になっています。
でもって、一般的な話ですが、過去の例を見ると野心的な旅客機開発というのは高確率で予定通りに完了しません。最近の話ではA380(エアバスの巨人機、複合材比率22%)の開発遅れがありますし、ボーイングなら747開発で危機的状況に陥ったのは有名な話です。私は787は、A380や747よりももっと野心的な開発だと考えています。また、予定通り開発ができても儲かるかどうかは別問題で、マクダネルダグラスなんかは新機種を開発して売れていたにもかかわらず、収益率が悪かった(恐らく製造原価が高止まった)為に財務が悪化し、ボーイングに買収されてしまいました。
そんなこんなで、今ではボーイングとエアバスしか残っていません。他の多くの航空機メーカはあまりの事業の難しさの為に、どこかで失敗して消えていきました。次がボーイングやエアバスではないとは誰も言えないでしょう。既にアメリカにはボーイング、欧州にはエアバスしかないので、これ以上消えることはないでしょうけど、大赤字を出して政府がその肩代わりをするというシナリオは十分に考えられます。
さて、シアトルタイムズの記事に戻って、私なりに解説してみます。
(1)複合材の大規模使用により歩留まりが悪化する可能性がある。9個作って1個駄目ってことは単純計算だと、製造原価が12.5%高くなるってことです。ちなみに、複合材っていうのは焼き物と同じ(オートクレーブという巨大な釜で焼き上げる)なので、一部に欠陥があるとそこだけを修理するのは難しくて、まるまる廃棄になるはずです。
(2)飛行機というのは重量が燃費に直接影響するので、重量が2.5%重いということは飛行機の価値が2.5%程度(?)低下するということです。つまり、買い叩かれやすくなるということです。
合わせると、このままでは15%程度利益率が悪化するかもしれないということを意味しています。製造業では致命的です。
787の就航は2008年夏、試験飛行開始は2007年夏、三菱重工からの主翼初出荷は2007年春の予定です。あまり改善の時間が残されていません。しかも、まだ胴体のパーツを作ってみたという段階でしかないので、この先もっと別の問題が出ることは十分予測できます。
一方、まだ完成してもいないのに受注は好調で、この規模の完成前の旅客機としては過去最大の受注を受けています。受注が沢山ということは、予定通りの速度で製造&出荷できないと、そのペナルティー(もし、契約に入っていれば)も大きくなるということであり、怖いです。今のままだと、歩留まりが悪い&限界まで受注を受けていると思われるので、出荷は遅れる可能性が大きいでしょう。
でもって、ボーイングの株価を見ると、どんどん上昇してきていて(最近はちょっと下がり気味)PER23倍、PBR6倍を超えています。高すぎです。この株価は、787開発が順調に完了するというのを折り込んでいると思います。もし、少しでも陰りが出れば、大きく下げるのではないでしょうか?ちなみに、エアバスは787の対抗機種であるA350の開発を止めて、新たにA370という対抗機種を開発するとかいう話が出ています。
激しく売りたいと思ったのですが、アメリカ株を空売りできる口座を持っていないので、どうにもなりません。ということで、ひまわり証券で証券CFD口座を開こうと画策しています。
証券CFDだと世界のいろいろな市場の株を売買(空売りも)できるみたいです。でも、BRICSとかアジアのマイナーな国とかは対象外みたいなので、そこは残念です。
posted by Conro at 12:27|
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